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信号機

横断歩道の前で立ち止まった人々の群れがいる。彼らは赤く点灯した信号機を見続けている。焦ることなく信号の通りにいつまでも立ち止まったままである。見回す事もなく信号機を信頼し、その指示通りに止まってるだけ...
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三角測量的見方

「それは両目で見るということですね」M氏は塾講師の経験があるだけに、僕の考えをあっさり平易にたとえてくれた。現在の実務が本来の目的とズレていないかどうかを私は三角測量になぞらえて話していたのだ。一点だ...
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ふたりの子ども

ようやく残暑も和らぎ、秋の気配を感じるようになった休日の午後のことである。私は公園でなかなか来ない友人と待ち合わせていた。明るい日差しの中、子どもたちが歓声を上げながら遊び回っている。その無邪気な声が...
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トイレの神様

年末になると部屋の掃除が気になってくる。少しづつでも進めようと気がついたところを手掛けていく。家とか部屋というのは深層心理学的に言うと自我を表すようである。夢に出てくる家がボロボロだと精神的にも肉体的...
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仕事の5段階説

ずいぶん前に会社の入社試験で「仕事について」というテーマを与えられ作文を書かされたことがある。通俗的なことを書いても面白くないので、マズローの欲求5段階説をベースに、それまでぼんやり考えていた自分なり...
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名を残す

〈田畑 利朗 先生に捧げる〉 あるブログでこんな話を知った。生き物を数える時の単位で牛は一頭、鳥は一羽、魚は一尾、人間は一名と数える。この単位は何かと言うと、命を終えて最後に残る部分だそうだ。牛の面影...
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真の身内

小説家秦恒平さんの「闇に言い置く」というネット備忘録を読んでいたところ、それまでもやもやしていたものがすっきり晴れ渡るような感覚になった。「生きるとは何か」「芸術とは何か」その一つの答えがこの一文にあ...
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